リスセクシュアルとは?【性的な目で見られたくない】
リスセクシュアル(lithsexual)とは、「他人に性的な感情を持つが、性的な感情を持たれたくはない」という人を指します。
「人をセクシーには感じるけれど、性的な目で見られるのは不快」
「好きな人からであろうと、性的な繋がりを求められるとゾッとしてしまう……」
思い当たるあなたは、もしかしたらリスセクシュアルかもしれません。
今回のコラムでは、LGBTQの頭文字となっているレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーなどとは異なる概念であるリスセクシュアルについて解説します。
リスセクシュアルとは〜リスロマンティックとの違い〜
リスセクシュアルとは、性的指向(どんな性の人に性的欲求を持つか)に関わる概念で、性的欲求はあり他者に対して性的な感情を抱くこともあるが、他の人から性的な感情を持たれたくないセクシュアリティです。
リスセクシュアルの中にもグラデーションがあり、「性的に見られると相手への恋愛感情も合わせて冷めてしまう」という人もいれば、「性的な目で見られるとゾッとしてしまう/不快感や嫌悪感を抱く」という方もいらっしゃいます。
ただ、どれも「他人に性的な感情を持たれたくない」部分に関しては共通しています。
しかし、性的に見られたくないからと言って、恋愛感情を持たれたくないとは限りません。「他人に恋愛感情を持たれたくない!」というあなたは、もしかしたらリスロマンティックかもしれません。
リスロマンティックは恋愛指向(どんな性の人を好きになるか)に関わる概念で、「他人のことを好きにはなるが、たとえ好きな相手からであろうと恋愛感情を持たれたくはない」セクシュアリティです。
リスロマンティックも同様にグラデーションがあり、「恋愛感情を持たれるとゾッとする/不快になる」という方もいれば「片想いの状態が好きで、両想いになりたいとは思わない」という方もいらっしゃいます。
また、リスロマンティックと「性的な感情を持つ/持たない」に直接的な繋がりはありません。リスセクシュアルかつリスロマンティック(=性的な目で見られるのも好意を持たれるのも嫌だ)という方もいれば、「性的な目で見られることは気にしないが恋愛感情を持たれるのは嫌だ」という方もいらっしゃいます。
このように、性的な欲求は恋愛感情と異なるという観点は、性のあり方を考えるうえでは非常に重要です。
リスセクシュアルの悩み
リスセクシュアルの方は、どういったことに悩むのでしょうか。代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられます。
パートナーと価値観が合わない
たとえ好きで付き合っているパートナーでも、性的な関係を持ちたいと思わないため、そこから恋人が「自分のことを嫌いなんじゃないか」と勘違いしてトラブルに発展、というケースがあります。
前の章で述べたように性的な欲求と恋愛感情は異なるのですが、実際は多くの方が性的な欲求=恋愛感情と一緒くたにしてしまいがちです。「性的な繋がりを持たない=嫌い」というわけではないのですが、こうした誤解が原因で別れてしまう……なんてことも。
プラトニックな関係のままでいたい
性欲はあるものの、パートナーとはあくまでプラトニックな関係でいたい。しかし、全く違う考えのパートナーから性的な関係を求められた時、持っていたはずの好意が急に冷めてしまう……といった経験のある方もいます。
上の2つはともに「相手との価値観の違いが生んだミスコミュニケーション」です。もし誰かと交際する時は、「自分はこういう考えで交際していきたい」と事前に認識をすり合わせておくことが重要です。
パートナーの話題が出た時、周りと話を合わせづらい
「パートナーとは性的な関係も持つものだ」と考えている人は、今も多いです。そういった考えを持った友人とパートナーの話になると、
- 「なんでまだしてないの?」と尋ねられて返答に詰まってしまう
- パートナーと性的な繋がりを持ちたくないと言ったら、「それって相手のこと本当は好きじゃないんじゃない?」と言われる
リスセクシュアルの方には、こんな経験がある方もかなりいます。
おわりに
性的指向が男性に向く、女性に向く、両性に向く、相手の性なんて気にしない……性的な感情を持つ「対象」が異性に限らないことは知られてきましたが、そもそも性的な感情の「あり方」自体も多様です。
他人に性的な感情を抱かないアセクシュアル、親密な相手にしか性的な感情を抱かないデミセクシュアル、相手の知性に性的な感情を抱くサピオセクシュアル。
これらと同様に、今回ご紹介したリスセクシュアルも、さまざまな性のあり方のひとつです。
周囲と話が合わず不安になった経験があるかもしれませんが、一人ひとり性のあり方は異なって当然です。心細くなる必要はありません。
自分の想いや価値観を見て見ぬ振りせず、大切にしてください!