性表現とは?LGBTを知るための基本概念【オススメブランドも紹介!】
性表現とは、「見た目や言動などで表す性」です。
LGBTについてテレビやインターネットで触れることが増えてきた昨今。今や芸能人だけでなく、YouTuberの中にもカミングアウトして活躍している方がいらっしゃいますね。
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そんな時代の流れにともなって、「性の3要素」なんて言葉も聞かれるようになり始めました。
その3要素とは、
の3つです。
ですが最近、4つ目の要素として性表現という観点が挙げられることが増えてきました。
「性表現って何? 漫画やアニメでの性的な表現を規制する・しないとかで話題になっているアレ……?」
いいえ、今回扱うのはその「性表現」ではありません。
読んでみたら「あ、そういうことか!」となる方が多いと思います。ぜひ最後までお読みください。
性表現とは?
さっそく本題です。性表現とは何でしょうか?
性表現とは、「見た目や言動などで表す性」です。
例えば私は、「身体的性が男性・性自認が男性・性的指向は相手の性に関係ない」というパンセクシュアル男性です。そして、服はメンズのものを選び、会話での一人称は「僕」です。
つまり私は「性表現が男性のパンセクシュアル男性」と言えます。
有名人で考えるともっとわかりやすいかもしれません。今やテレビで見ない日のないマツコ・デラックスさんは、著書『マツ☆キヨ』にて自身のことをゲイだと言っており、テレビ番組では「体が男」という表現を多用しています。
しかしその一方で、一人称を「あたし」「私」としたり、自身を「女装家」と評しています。
これらのことから、マツコ・デラックスさんは「性表現が女性のゲイ男性」といえるでしょう。
性表現とトランスジェンダー
性表現と非常に密接なかかわりがあるのが、トランスジェンダーです。
トランスジェンダーとは、実は大きく3つに分けることができます。
- (狭義の)トランスジェンダー:性自認と割り当てられた性が異なる状態
例:「自分は出生時から女性とされているが、性自認は男性である」「性自認と身体的性が異なり、周囲から性自認とは別の性として見られるものの、外科的な手術までは求めない」 - トランスセクシュアル:身体的性と性自認が一致していないことに対して違和感や嫌悪感を抱いている状態
- トランスヴェスタイト(クロスドレッサー):性自認と身体的性は一致している状態で、それとは異なった服装を身にまとう状態
※現在はトランスジェンダーとは別のものとして考えられることが多くなってきました
これらすべてを包括するのが、広い意味でのトランスジェンダーという言葉なのです。この中でもトランスヴェスタイトが、性表現と非常にかかわっています。
見た目や言動で表す性が、性表現です。つまり、服装やメイクの仕方なども性表現の一部です。そうなると、トランスヴェスタイトとは「性表現が身体的性や性自認と一致していない状態」だといえます。
かつては、性表現・性自認を混同して「女性的な服装をしているのだから自分を女性と認識しているのだろう」と解釈されていたため、トランスヴェスタイト・異性装はトランスジェンダーに含められてきました。
しかし、例えばある女性が「男性」としての性表現(一人称を「俺」にする、ネクタイやスーツを着用する)をしたからといって、「自分を男性と認識している」とは限りません。そのため現在、多くの場合トランスヴェスタイトはトランスジェンダーとは異なるものとされます。
性表現は、あくまで「(社会からのまなざしを想定して)このような性としてふるまいたい」といった主観的なものです。しかも社会からのまなざしを想定するということは、「その社会での性のあり方」も考える必要があるため、社会にかなり左右されてしまいます。
社会において「あたりまえ」だと思われている性のあり方は、当然社会ごとに異なります。国や地域ごとに違うだけでなく、同じ国や地域でも時代ごとでも違ってきます(例えば、ある国では眉毛がつながっていることが「女性らしい」と考えられていますが、日本ではどうでしょうか?)。
とても、難しい概念です。
ただ、自分の「あたりまえ」を相手に押し付けることのないよう、気をつけていきたいですね!
自由な性表現のために~オススメファッションブランド紹介~
自分は、どんな性としてふるまいたいだろう。
あ~、こういう性として見られたいな。
じゃあ、服装や髪形はどうしよう。一人称は何にしよう……。
好きな服・アクセサリーを着用したいと考えること、実際に着用すること、使いたい一人称を使うこと。これらはすべて、自由です。あなたのその思いを規制するものは、ありません。
でも、好きな性表現をしたいのに、自分にあったサイズのものがない……という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方のためにいくつかオススメのブランドをまとめましたので、ぜひチェックしてみてください!
※なお、すべての画像は公式HPから引用しております。
1. 身長が150cm前後で「女性らしくない」服をお探しの方へ(いわゆるFtM、FtX向けブランド)
1.1 Varicolos
こちら、「誰もが自分の好きな服を自由に選択でき、思ったままにしたいオシャレを楽しめる」をコンセプトにしています。トランスジェンダーの方が監修していますので、細かなニーズにこたえてくれる素敵なブランドです!
1.2 G/Slash
体が小さくても紳士服をかっこよく着こなしたい、という思いから立ち上がったこのブランド。G/Slashというブランド名には、ジェンダーを壊すという意味がこめられています!
2. 身長170cm以上で「男性らしくない」服をお探しの方(いわゆるMtF、MtX向けブランド)
2.1 blurorange
「性別や体型問わず、かわいい服を楽しんでほしい」という思いのもと立ち上げられたブランド、blurorange。こちらの服は、着丈だけでなく骨格のことも考えられているため、どんな方でも着られます。こういった心づかいが嬉しいですね。
2.2 マルイ ヴェリココ「ラクチン」シリーズ
マルイのオリジナルブランド、ヴェリココ。こちらの「ラクチン」シリーズのパンプスは、19.5cmから27.0cmまで幅広くサイズが展開されており、足の大きな方でも安心して履くことができます。
マルイでは、「トランスジェンダーの方のため」ではなく、「全ての人にマルイの靴を履いてもらいたい」とこのサイズを用意したそうです。こうした考え方を対外的にしっかり発信しているブランドは、安心できますね。
好きな服を、好きなように着よう。LGBT必見!ジェンダーレスファッションブランド5選
おわりに
いかがだったでしょうか。自由な性表現を規制するものは、少しずつなくなってきているように思えます。
大切なのは、先ほどもお伝えしたように、自分の「あたりまえ」を人に押しつけないことです。
例えば、
「男なんてメイクしないのがあたりまえだよ! なんでメイクしてるの!? 早く落としてきなよ!」
と仮にあなたが言ってしまったとします。
でも、その人には
「女性として性表現がしたい、性自認と身体的性が男性」
「肌荒れが気になってメイクしていただけで、性表現も性自認も身体的性も男性」
「性表現、性自認ともに女性で、身体的な性が男性」
「性表現も性自認も身体的性もすべて女性なのになぜか『男性』と言われることが多い」
どの可能性もありますし、なんなら、これらのどれでもない可能性だって十分にあります。
「性表現は自由であり、第三者が規制するようなものではない」と知ることこそが、すべての人が「自分らしく」生きられる社会の第一歩なのではないでしょうか。
あなたが多様なセクシュアリティの世界を知っていく、その第一歩をこのコラムが支えられたら幸いです!
参考文献
- http://lgbtetc.jp/pdf/about_lgbt.pdf
- 森山至貴『LGBTを読み解く』(2017)ちくま新書