SOGIハラとは? 読み方や具体例、2026年10月施行の改正指針で企業に求められる対策

ライター: JobRainbow編集部
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SOGIハラとは、性的指向(好きになる性)や性自認(自分の性をどう認識しているか)を理由にした、差別的な言動や嫌がらせのことです。セクハラやパワハラという言葉は広く知られるようになりましたが、SOGIハラについては「聞いたことはあるけれど、よくわからない」という方も多いのではないでしょうか。

SOGIハラをめぐるルールは、ここ数年で大きく変わってきました。2020年からパワハラ防止の指針にSOGIハラやアウティングが明記され、2026年10月1日からは改正された指針が施行されて、カミングアウトを強要したり禁止したりすることもパワハラにあたり得ると明記されました。2026年6月に閣議決定されたLGBT理解増進法の基本計画も、企業に職場での取り組みを求めています。

この記事では、SOGIの読み方と意味、SOGIハラの具体例を確認したうえで、法律やルールでどう位置づけられているのか、企業や職場で何をすればよいのかを、最新の動きにあわせて解説します。誰かを気づかないうちに傷つけないために、そして自分が傷つけられたときに守られる方法を知るために、読んでいただけたらうれしいです。


SOGIとは、読み方と意味

SOGIは、Sexual Orientation and Gender Identityの頭文字をとった言葉で、日本語では「性的指向と性自認」と訳されます。読み方は「ソジ」や「ソギ」が一般的で、語尾を伸ばして「ソジー」と読んだり、アルファベットのまま「エスオージーアイ」と読んだりすることもあります。

性的指向は、恋愛感情や性的な関心がどの性別に向くか、あるいは向かないかということです。性自認は、自分の性別をどのように認識しているかということです。

LGBTという言葉は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーといった特定の人たちを指す言葉です。それに対してSOGIは、すべての人が持っている属性を表す言葉です。異性を好きになる人にも、自分を男性や女性と認識している人にも、それぞれのSOGIがあります。SOGIという言葉を使うことで、性のあり方は一部の人だけの話ではなく、すべての人に関わることだと捉えやすくなります。


SOGIハラとは何か

SOGIハラは、SOGIハラスメントの略です。SOGIハラをなくすための活動を続けてきた「なくそう!SOGIハラ」実行委員会は、SOGIハラを、性的指向や性自認に関連して差別的な言動や嘲笑、いじめや暴力などの精神的・肉体的な嫌がらせを受けること、また、望まない性別での生活の強要や、不当な異動、採用拒否、解雇など、社会生活上の不利益を被ることを指す言葉だと説明しています(『はじめよう!SOGIハラのない学校・職場づくり』大月書店、2019年)。

ポイントは、相手がLGBTQ+の当事者かどうかに関係なく、SOGIに関する侮辱的な言動そのものがハラスメントになり得るということです。たとえば、その場に当事者がいないと思って口にした冗談が、実はカミングアウトしていない同僚を深く傷つけていた、ということは珍しくありません。


SOGIハラの具体例

SOGIハラにはさまざまな形があります。代表的なものを五つ見ていきます。過去につらい経験をした方にとっては、思い出すきっかけになる内容が含まれるかもしれません。無理のない範囲で読み進めてください。


1. 差別的な言動や嘲笑、差別的な呼び方

同性愛者を指す蔑称を使ってからかったり、「気持ち悪い」と言ったりすることは、典型的なSOGIハラです。「ホモ」「レズ」といった言葉は、本来の意味を離れて、同性愛者をあざける言葉として使われてきた歴史があります。当事者が自分を指して使う場合を除き、他人に向けて使うことは避けましょう。「彼氏いるの?」「早く結婚しなよ」といった、異性愛を前提とした何気ない一言が、相手を追い詰めてしまうこともあります。


2. いじめ・暴力・無視

性的指向や性自認を理由に、仲間外れにしたり、暴力をふるったりすることもSOGIハラです。本人だけでなく、家族やパートナーがLGBTQ+であることを理由にいじめが起きるケースも報告されています。


3. 望まない性別での生活の強要

性自認と異なる性別の制服を着るよう強制したり、性自認に沿ったトイレや更衣室の利用を一律に認めなかったりすることが、本人を苦しめる場合があります。どのような配慮が必要かは一人ひとり違うため、本人の意向を聞いて一緒に考えることが大切です。


4. 不当な異動や解雇、採用拒否

性的指向や性自認を理由に、本人の望まない異動を命じたり、解雇したり、採用を見送ったりすることも、SOGIハラや差別にあたります。就職活動の場面で、面接官からセクシュアリティについて不必要な質問をされたという声も少なくありません。


5. アウティング

本人の了解なく、その人の性的指向や性自認を他の人に暴露することを「アウティング」といいます。2015年には、同級生にゲイであることを暴露された一橋大学の大学院生が亡くなるという痛ましい出来事がありました。カミングアウトは、その相手を信頼しているからこそ打ち明けるものです。たとえ善意からでも、本人の同意なく他の人に伝えてはいけません。


これらは別々に起こるとは限りません。アウティングをきっかけに差別的な言動が始まり、「職場の雰囲気のため」と異動を命じられる、というように、SOGIハラは連鎖して起こることも多いのです。


法律ではどう位置づけられているのか

SOGIハラは、すでに法律に基づくルールの中で明確に位置づけられています。

2020年6月に施行された改正労働施策総合推進法、いわゆるパワハラ防止法により、企業にはパワーハラスメントを防止する措置を講じることが義務づけられました(中小企業は2022年4月から義務化)。その具体的な内容を定めた厚生労働省の指針では、相手の性的指向や性自認に関する侮辱的な言動が「精神的な攻撃」の例として、また、本人の了解を得ずに性的指向や性自認を他の労働者に暴露することが「個の侵害」の例として、パワハラにあたり得ると明記されています(引用:厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」)。

一方で、本人の了解を得たうえで、配慮のために必要な範囲で人事担当者に伝えることはパワハラにあたらない例として示されています。大切なのは、本人の意思を尊重することです。


2026年10月1日から変わったこと

2025年6月に労働施策総合推進法などが改正され、それにあわせてハラスメント防止の指針も見直されました。改正された指針は2026年10月1日から施行されています。SOGIに関しては、次の点が新たに明記されました(引用:LGBT法連合会「労働施策総合推進法等に基づくいわゆる『ハラスメント防止指針』の諮問答申について」)。

  • カミングアウトを強要すること、あるいは禁止することが、パワハラにあたり得ること
  • 顧客や取引先など職場の外の人からのアウティングやカミングアウトの強要が、カスタマーハラスメントにあたり得ること
  • 就職活動中の学生などに対するSOGIハラの防止が、事業主の望ましい取り組みとして示されたこと

たとえば、同性パートナーを家族として扱う福利厚生を利用しようとした社員に対して、上司が「まず周りにカミングアウトしてから」と求めることは、カミングアウトの強要にあたり得ます。反対に、「そういうことは職場で言わないように」と口止めすることも、カミングアウトの禁止として問題になり得ます(引用:日本人材ニュース「『自爆営業』『カミングアウト』規定を確認、改正パワハラ防止指針に追記」)。

同じ2026年10月1日からは、カスタマーハラスメントを防ぐ措置も、すべての企業に義務づけられました。顧客からSOGIハラを受けた社員を守る体制づくりも、企業の責任の一部になったということです。


LGBT理解増進法の基本計画も職場での取り組みを求めている

2026年6月16日には、2023年に施行されたLGBT理解増進法に基づく初めての基本計画が閣議決定されました。基本計画では、学校や地域、職場、家庭などで重層的に知識を広げることが掲げられ、企業などには、採用や職場での不利益な扱い、ハラスメントを防ぐ取り組みが求められています(引用:日本経済新聞「LGBT『重層的に知識普及』、相談体制を強化 政府が基本計画決定」)。

ただ、当事者団体からは、自らのSOGIに従って生きることを重要な利益だと明記した点は評価できる一方で、具体的な施策が十分ではないという指摘も出ています(引用:LGBT法連合会「SOGI理解増進法に基づく基本計画の閣議決定を受けて」)。採用拒否や異動の強要など、ハラスメントの枠組みだけではとらえきれない差別的な扱いへの対応は、今も課題として残っています。


自治体ではアウティング禁止の条例も広がっている

国の動きとは別に、アウティングを条例で禁止する自治体も増えています。2018年に東京都国立市が初めて条例でアウティングの禁止を明記し、2021年には三重県が都道府県として初めて同様の条例を制定しました。2023年10月時点では、少なくとも12都府県の26自治体が条例でアウティングの禁止を定めています(引用:PRIDE JAPAN「アウティング禁止条例を持つ自治体は26、3年で5倍に」)。


企業がSOGIハラを防ぐためにできること

では、企業や職場でSOGIハラを防ぐために、具体的に何をすればよいのでしょうか。


方針を明確にして、就業規則に盛り込む

まず大切なのは、SOGIハラを許さないという会社の方針をはっきり示し、就業規則に盛り込むことです。厚生労働省のモデル就業規則にも、性的指向・性自認に関する言動によるハラスメントの禁止が規定されています。

(その他あらゆるハラスメントの禁止)第15条 第12条から前条までに規定するもののほか、性的指向・性自認に関する言動によるものなど職場におけるあらゆるハラスメントにより、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない。(厚生労働省「モデル就業規則」)

就業規則を変えるだけでは意味がないと感じる方もいるかもしれません。けれども、規則として明文化することで、会社のスタンスが社員や求職者に伝わり、問題が起きたときに対応する根拠にもなります。今回の指針改正を受けて、カミングアウトの強要・禁止やカスタマーハラスメントについても規定を見直しておくとよいでしょう。


相談窓口を整え、プライバシーを守る

SOGIハラの相談では、相談すること自体がカミングアウトにつながる場合があります。相談窓口の担当者がSOGIについて正しい知識を持っていること、相談内容が本人の同意なく共有されないことを、あらかじめ明確にしておくことが大切です。社内の窓口では相談しにくいと感じる人のために、外部の相談窓口を用意するのも有効です。


研修で知識と意識をアップデートする

SOGIハラの多くは、悪意よりも知識不足や思い込みから生まれます。管理職や人事担当者、採用面接を担当する社員、顧客対応をする社員など、立場に応じた研修を行うことで、「何がSOGIハラにあたるのか」を共通認識にしていくことができます。


JobRainbowのサポート

JobRainbowでも、企業のSOGIハラ対策を支援しています。役員・管理職向け、人事・採用担当者向け、全社員向けなど対象に合わせた研修、時間や場所を選ばず受講できるeラーニング、社内の窓口では相談しにくい社員のための外部相談窓口、制度づくりまでを含めたコンサルティングなどを提供しています。eラーニングを全社で導入した企業からは、新入社員から「社内研修の中で一番気づきがあった」という声も寄せられています。導入事例や無料でダウンロードできる資料は、JobRainbowの法人向けページからご覧いただけます。


もしSOGIハラを受けたら

自分がSOGIハラを受けたと感じたときは、ひとりで抱え込まないでください。いつ、どこで、誰に、何をされたり言われたりしたのかを、できる範囲でメモに残しておくと、相談するときの助けになります。

相談先としては、まず社内のハラスメント相談窓口があります。社内では相談しにくい場合や、相談しても対応してもらえない場合は、各都道府県の労働局などに設置されている総合労働相談コーナーで、無料で相談することができます(引用:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」)。企業にはハラスメントの相談をした社員を不利益に扱うことが禁じられています。相談することは、あなたの正当な権利です。


おわりに

SOGIは、すべての人に関わるものです。LGBTQ+の当事者だけの問題ではなく、職場で働くすべての人が知っておくべきことだと言えます。

「SOGIハラに気をつけていたら、気軽に話せなくなる」と感じる方もいるかもしれません。けれども、誰かを傷つけるかもしれない言葉を使わなくても、楽しいコミュニケーションはできるはずです。「彼氏」「彼女」ではなく「パートナー」と言ってみる、相手のセクシュアリティを決めつけない。そんな小さな工夫の積み重ねが、誰にとっても働きやすい職場につながっていきます。

2026年10月の指針改正は、職場のルールをあらためて見直すよい機会です。JobRainbowでは、SOGIハラ対策に取り組むLGBTQ+フレンドリーな企業の情報を紹介しています。安心して働ける職場を探すときにも、ぜひご活用ください。


参考

  1. 厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」
  2. LGBT法連合会「労働施策総合推進法等に基づくいわゆる『ハラスメント防止指針』の諮問答申について」
  3. 日本人材ニュース「『自爆営業』『カミングアウト』規定を確認、改正パワハラ防止指針に追記」
  4. 日本経済新聞「LGBT『重層的に知識普及』、相談体制を強化 政府が基本計画決定」
  5. LGBT法連合会「SOGI理解増進法に基づく基本計画の閣議決定を受けて」
  6. PRIDE JAPAN「アウティング禁止条例を持つ自治体は26、3年で5倍に」
  7. 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」

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