ジェンダーレスとは?【「男子だから」「女子だから」じゃない】

ライター: JobRainbow編集部
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ジェンダーレス(genderless)とは、「ジェンダーギャップのない、またはジェンダーギャップをなくそうとする考え方」を指します。「男女の境界を無くす・区別しない」という意味合いが強い言葉で、英語のgenderlessはgender(社会的・文化的な性)と接尾辞のless(〜がない)が組み合わさっています。

「ジェンダーレス」という言葉を聞いたことはありますか。

「ジェンダーレス」とは、本来、自身の性をどのように認識しているかを指す性自認(こころの性)」が関わってくる考え方の一つとされていました。

しかし、近年この「ジェンダーレス」という言葉は、見た目や言動を通じて自分で表現する性を示す「性表現」も関わってくる概念に変化して用いられるようになりつつあります。

今回はこの考え方について、様々なトピックで紹介していきたいと思います。

「最近よく聞くジェンダーレスってなんだろう?」「自分が男性か女性かよくわからない……」という方は、ぜひこのコラムを読んでみてください。

ジェンダーレスの意味

左の方向を見つめる人の顔

まず、ジェンダーレスの定義とは何なのでしょうか。

ジェンダーレス(genderless)とは、「ジェンダーギャップのない、またはジェンダーギャップをなくそうとする考え方」を指します。「男女の境界を無くす・区別しない」という意味合いが強い言葉です。

※ジェンダーは、身体的・生物学的な性別であるセックス(sex)に対して、社会的・文化的に形成された性別を表す言葉です。具体的には、「男性らしさ」「女性らしさ」と呼ばれるような役割や職業、言葉遣い、価値観、行動などを指します。(参考:第70回 性差:ジェンダーとセックスの違い|内閣府

最近では、海外のモデルが男女両方のファッションを着たり、男女両方が着ることのできるファッションを始めたことで、性表現の在り方として、「男女の境界がないファッション」という意味としても使われるようになりました。

そのため、「ジェンダーレス男子」「ジェンダーレス女子」といった呼ばれ方をされたり、ジェンダーレスファッションをしているものの、あくまでセクシュアリティは男性(女性)として自認していたり、周りから男性(女性)として扱われている人もいます。

また、混同されやすい言葉として、「ジェンダーフリー」があります。

ジェンダーフリーとは、「従来の固定的な性別における役割分担にとらわれず、1人ひとりが自由かつ平等に行動、選択をできるようにしよう」という考えです。

ジェンダーレスは、ジェンダーという概念自体を取り払おうとする考えですが、ジェンダーフリーはジェンダー自体をなくそうというわけではなく、「ジェンダーによる差別をなくそう」という意味があります。

つまり、ジェンダーレスとジェンダーフリーの考え方の違いは、「ジェンダー」という社会的に男女で分けられた性別を前提としているかどうかだと言うことができます。言い換えると、「ジェンダーフリー」の考え方が、社会的に男女で分けられた性別を前提としているものということになります。

他にも、身体的性に関わらず、性自認が男性にも女性にも当てはまらない「Xジェンダー」「クエスチョニング」などのセクシュアリティと混同されることもあります。

※Xジェンダー……主に出生時に割り当てられる「男性」「女性」に当てはまらない性自認を持つ状態を指します。

代表的な4つの分類としては、

  • 中性(男と女の間である)
  • 両性(男でも女でもある)
  • 不定性(男の時もあれば女の時もある)
  • 無性(男でも女でもない)

があります(もちろん、この4分類に縛られる必要性は全くありません)。

※クエスチョニング……性自認や性的指向について、「まだ決まっていないと思う」「わからない、違和感がある」「ひとつに決まるものではないと思う」などに当てはまる状態を指します。

クエスチョニングには、以下の3パターンがあります。

  • 性自認について指している場合
  • 性的指向について指している場合
  • ↑の両方について指している場合

このように、ジェンダーレスは性自認や性表現と関わる考え方であるのに対し、Xジェンダーやクエスチョニングは性自認と関わるセクシュアリティであるという違いがあります。

次に、ジェンダーレスの具体的な特徴を紹介していきます。

ジェンダーレスの特徴

楽しそうに煙筒を扱う2人

それでは、ジェンダーレスな性表現の特徴についてご紹介します。

なお、ジェンダーレスの方が、この特徴すべてに当てはまるとは限らないので、ご安心ください。

1. ファッション

冒頭でもファッションに少し触れましたが、まず特徴的なのが服装です。男性が女性の服を着たり、女性が男性の服を着たりしますが、女装や男装になるわけではなく、男性とも女性とも言えない、中性的な格好になるのが大きな特徴です。

ジェンダーレスファッションに興味を持たれた方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

好きな服を、好きなように着よう。LGBT必見!ジェンダーレスファッションブランド5選

2. 髪型

髪型も服装と同じく、男性と女性の中間のようになるのが特徴的です。男性で言うところのロングヘアー(前髪が目にかかったり、耳がすっぽり隠れる程度)から、女性で言うところのショートヘアー(髪が肩にかかるくらい)くらいの長さの人が多いです。これより短くなると男性らしい髪型になり、逆にこれ以上長くなると女性らしい髪型になるため、その中間の長さが好まれやすいようです。

3. メイク

ジェンダーレスの方は、身体の性別が男性でもメイクをする方がたくさんいます。今の日本では、「メイクは女性だけのもの」という捉え方が強いですが、自分らしさや自分なりの美を追求してメイクに取り組むことは、どんな方でも自然なことだと言えるのではないでしょうか。次の章では、ジェンダーレスメイクについて、より詳しく紹介していきます。

4. 恋愛

ジェンダーレスは、自分の表現したい性について表している言葉なので、恋愛の在り方は人それぞれです。なので、ジェンダーレスの中にも、身体的性が同じ人と恋愛したい方、男性と女性のどちらも対象となるバイセクシュアルの方、恋愛感情を持たないアロマンティックの方など、様々な性的指向があります。

ジェンダーレスとメイク

メイク道具

ジェンダーレスの方の大きな特徴の一つとして、中性的なメイクがあります。

ここでは、女性向けのジェンダーレスメイク、男性向けのジェンダーレスメイクについてご紹介します。

なお、「ジェンダーレスメイクは、こうしないといけない」というわけではなく、あくまで近年のトレンドについて説明していきます。

まず、女性の方は、かわいらしさに偏りすぎず、かっこよさや爽やかさを重視するケースが多いです。ファンデーションは塗りすぎず、透明感のあるすっぴん風にします。シミやそばかすも無理に隠さず、自然な仕上がりに。
アイメイクはブラウン系やベージュ系を使い、眉や目元をキリッとさせます。アイラインを使う場合も、ポイントを絞ることが多いです。
リップやチークは使わないか抑えめにして、赤みを出さないようにします。赤みは女性らしさを感じさせてしまうので、使う場合も肌に近い色を選びます。ハイライトもマットなものが好んで使われるようです。

総じて、暗い色でメリハリをつけて、シンプルに仕上げていくのがトレンドと言えるでしょう。

男性の方は、韓流アイドルのようなメイクが流行しています。基本的には、先ほど述べたようなものと同じですが、ファンデーションとコンシーラーで肌のムラをなくし、ひげや肌をマットに整えていくことが重視されるようです。
アイメイクは男性も、暗めのブラウンやベージュを使うことが多いようです。

ジェンダーレスメイクのポイントをまとめると、このようになります。

  • 素肌や透明感を大事に
  • 目元や眉はブラウン系ではっきりとさせる
  • チークやリップなどの血色は抑えめに

参考

ジェンダーレスの有名人

近年では、ジェンダーレスを個性にしている有名人が話題になることも増えてきました。

ここでは、「ジェンダーレス男子」「ジェンダーレス女子」として話題になっている方について紹介していきます。

1. とまん

XOX(キスハグキス)の元リーダーで、現在は俳優、モデル、タレント、アーティストなど幅広く活動しています。

身長163cmという小柄なスタイルで、バラエティ番組やファッション雑誌などから、ジェンダーレス男子として話題になりました。

ファッションだけでなく、日焼け対策やネイルなど性別の枠を超えて、美を追求する姿勢が人気を集めています。

2. りゅうちぇる

元々は原宿の古着屋スタッフと読者モデルをしていましたが、テレビ番組への出演をきっかけにメディア主演が増え、ジェンダーレス系の有名人を代表する存在になりました。

2019年9月現在、InstagramとTwitter双方でフォロワーが100万人を超えています。

また、読者モデルのペコさんと結婚しており、お子さんもいらっしゃいます。

りゅうちぇるさんは、家族の名前のタトゥーを入れたり、音楽活動を行ったり、自分らしさを大切にしている姿からたくさんの共感を生んでいます。

3. こんどうようぢ

こんどうようぢさんは、モデル、タレント、役者、ブランドデザイナーとして活動されています。高校生の頃から、自分のファッションを発信していたブログが話題になり、読者モデルとして活動するようになりました。他にも、歌手としての活動や、映画やテレビドラマへの出演も行っています。

4. ゆうたろう

原宿の古着屋スタッフをしていましたが、バラエティ番組にたまたま取り上げられたことから、一躍有名になりました。今では、舞台や映画など様々な活動をしています。

Instagram上で女装姿をあげるなど、かわいらしいファッションが人気を呼んでいます。

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5. よきき

よききさんは、Youtuberとして、メイクやコスメの紹介を中心に発信しています。

SNSでも、メイク前のすっぴん姿とともに、女性風メイクやアニメのコスプレなどを披露しているのが特徴的です。

6. 中山咲月

中山咲月さんは、モデルや俳優として活動しており、ドラマ出演をきっかけに「ジェンダーレス女子」や「王子」と呼ばれるようになりました。ショートカットやメンズファッションを取り入れ、自らのブランドもプロデュースしています。

7. ルウト

ファッションモデルや舞台俳優として活動されています。男性ファッション誌に登場するなど、男性的な目鼻のくっきりした顔立ちでジェンダーレスな男装女子として話題になっています。

8. あやせりんて

あやせりんてさんは、ジェンダーレスモデルとYoutuberをしています。

一見男性にも見えるような、ボーイッシュなジェンダーレスファッションが個性的です。

おわりに

いかがでしたか。今回はジェンダーレスについて紹介させていただきました。

ジェンダーレスの考え方に賛同するタレントがテレビ・メディア等に出演することも増え、近年その知名度は高まりつつありますが、本当の定義など詳細についてはまだあまり知られていないのが実情です。

性自認や性的指向に関する考え方は、グラデーションのように人それぞれであるとされており、一言では言い表せません。ジェンダーレスの方だけでも、様々な方がいます。

また、無理に自分をある考え方に当てはめる必要もないので、この記事が性について柔軟な考えを持つことにつながれば幸いです。

参考文献

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