人事面談で確認したいポイントとは?【LGBT就活・転職ガイド 7-2】
選考中に確認できなかったことを聞くチャンス
内定が出た後、人事から面談を打診されることがあります。面談の目的は、内定者の不安や疑問を取り除き、モチベーションを高くもった状態で入社してもらうこと。人事担当者から労務条件や社内制度についての説明を受け、選考中に確認できなかったことを質問できます。
選考中にカミングアウトせず、入社後のカミングアウトを検討している人は、このタイミングでカミングアウトし、自分の事情や希望を伝えることも一つの選択肢です。たとえば、配属先の施設についての質問や転勤の際にパートナーを連れて行けるかなど、ライフプランに関わることを確認できるチャンスです。
入社後カミングアウトしない場合でも、福利厚生など気になることは聞いておくとよいでしょう。その際、たとえば同性パートナーシップ制度の有無をたずねると、LGBT当事者かどうかと逆に聞かれることもあるかもしれません。答えたくない場合は、「ダイバーシティの取り組みに興味がある」などとさらりとかわすこともできます。カミングアウトの有無にかかわらず、次の三つのポイントを聞くのをおすすめします。
①福利厚生・設備・LGBT相談窓口の有無
自分に必要な福利厚生や設備、LGBT相談窓口があるかどうかを確認します。就業規則でも確認可能です。差別禁止規定もチェックしておきましょう。
②配属先の部署、雰囲気、人員構成など
内定後に配属先が決まる場合があるため、仕事内容、職場の雰囲気、人員構成を確認しておきましょう。
③入社前後の研修の有無
多くの企業では、入社前後に研修を行います。時期や準備しておくことを確認しましょう。
カミングアウトする場合は、必ずゾーニングを確認すること
「どこまでカミングアウトするか線引きをすること」をゾーニングといいます。どのタイミングでカミングアウトするにしても、知られてもよい範囲を事前に決めておくことが望ましいです。
選考中の面接でカミングアウトした場合、以下の2点を確認しておきましょう。
- 社内ではどこまで情報共有されているのか
- 入社にあたってどこまで情報共有する必要があるのか
人事面談ではじめて伝える場合は、2.と自分の希望を伝え、ゾーニングをすり合わせるとよいでしょう。トランスジェンダーは、通称名の使用や保険など、相談が必要な範囲が広くなる傾向があります。
本人の決めたゾーニングを越えて、第三者がセクシュアリティを暴露してしまうことを、アウティングといいます。過去には、就活・職場の場面ではないものの、アウティングが原因と考えられる大学生の転落死事件もありました。また、職場で本人のためを思って悪気なくアウティングをした結果、トラブルになってしまったケースも見受けられます。本人が望まない人にまで知られることは、大きなショックを与えかねません。
働くうえで自分が決めたゾーニングを尊重してもらえるよう、事前に考えをまとめ、面談では明確に伝えてください。もし人事担当者から自分の望まない人へのカミングアウトをすすめられた場合、その場で返事せず、じっくり考えたうえで後日返事をしましょう。
Q. ゾーニングの伝え方のコツはありますか?
自分の望む働き方を軸に伝えることがポイントです。二つの伝え方の例を紹介します。
- 同性のパートナーがいる場合の伝え方
「仕事とプライベートはしっかり分けて働きたいです。最低限伝える必要のある方のみにカミングアウトし、同僚にはオープンにしないことを望みます。理解のない人のあいだで噂になったり、色眼鏡でみられたりすることは避けたいからです。同性のパートナーがいて、いずれは婚姻関係を結びたいと考えているので、転勤時には家族として一緒に連れていきたいと考えています。その場合、どんな人にカミングアウトする必要があるでしょうか。また、現時点でカミングアウトする必要のある人を教えてください。」
- 性別適合手術を考えているトランスジェンダーの場合の伝え方
「トランスジェンダーで、現在は戸籍の性別(男性)としてふるまっています。性別適合手術の休暇制度を使って手術を受け、その後は女性として生きたいと思っています。性別適合手術の休暇制度について詳しく教えてほしいです。いずれカミングアウトを考えていますが、それまでは採用担当者の方以外に伝えるつもりはありません。」
Q. 人事面談で同性パートナーシップ制度について質問したら困惑されてしまい、希望を言いにくくなってしまいました。
「LGBTへの理解は千差万別」で紹介した心がまえを参考に、理解がなかった時も感情的にならず、冷静に対応しましょう。セクシュアルマジョリティが享受している福利厚生を求めることは、決してわがままではありません。自分の事情や希望、ライフプランを丁寧に伝えましょう。
「働きやすい職場に変える方法」も参考にしてみてください。LGBTへの対応に慣れていない企業はまだたくさんあります。「配慮がない=悪い企業」と決めつけず、今後一緒に変えていく姿勢を持てるようなコミュニケーションをとっていきましょう。
POINT
・カミングアウトする場合はゾーニングを確認しよう
・カミングアウトの有無にかかわらず、ライフプランにかかわる社内制度で気になることは人事面談で確かめる
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