Xジェンダー診断【私は何者?】

ライター: JobRainbow編集部
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最近、「性の4要素」と呼ばれる、「身体的性」「性自認」「性的指向」「性表現」の4つの概念が認識され始め、それに伴いそれぞれの多様な性の在り方が社会に浸透してきました。

レズビアンゲイトランスジェンダーなど、セクシュアルマイノリティの人たちがメディアに取り上げられることも少なくありません。

しかし、どんどん性が多様化してゆく中にあっても、「自分の心の性別がわからない」「性自認が不安定」といった方はいませんか?

こんなに多様な性に、自分が当てはまらなかったら、非常に不安ではないでしょうか。

そんな方は、もしかしたら「Xジェンダー」かもしれません。

今回は、「自分のセクシュアリティがわからない」「自分の性ってなんなんだろう」と悩める方に向けて、Xジェンダーかどうかのセルフチェックを行う手助けになれるような診断をご用意しました。

Xジェンダーとは?

「そもそもXジェンダーってなに?」という方に向けて、この記事を参考にしつつ、まずは簡単にXジェンダーとはなんなのか、を解説します。

Xジェンダーとは、「自身の性自認を男性or女性のどちらか一方に定めないセクシュアリティ」のことを指します。
このXジェンダーには大きく分けて4つの類型があるとされており、中性・両性・無性・不定性という風に呼ばれています。

まず、中性とは、「自分が男性と女性の中間地点にいる」と認識している性のことです。どちらでもない、というわけではなく、あくまで「男と女の間」と感じる性を指します。

次に、両性とは、「自分は男でもあり女でもある」と認識する性です。「私は女が6割、男が4割」であったり、「女が3割、男が7割」など割合は人それぞれですが、その割合が変化しないのが特徴です。

続いて、無性とは、「女でも男でもない」性です。女が何割、男が何割…ではなく、そもそも男や女という概念が自分の中に存在しない人のことを指します。

最後に、不定性です。流動的な性自認をする性のことをいいます。時や場所、気分によって自分の性自認が流動的に変化する人がこれに当てはまりますが、必ずしも男と女の間で流動するのではなく、無性と男性と女性を流動したり、もっと多くの性の間を流動する人もこれに当てはまります。

Xジェンダーについてもっと詳しく知りたい方は
【用語解説】Xジェンダーとは? 【男女の枠に属さないってどういうこと?】

コラムで診断する前に…病院で診断できるのか?

「診断」というと、病院でお医者さんにやってもらう…というイメージがあります。

しかし、今の所、多くの病院では、医学的基準が設定されている「性同一性障害」かどうかの診断しか受けられません。性同一性障害に関する診断と治療のガイドラインによると、性同一性障害は、「性別違和の実態を明らかにする」段階で、「男」か「女」かのどちらに当てはまるか?という前提で診断するようです。

つまり、病院で「Xジェンダーかどうか?」を診断することはできないため、セルフチェックするしかありません。

診断

セルフチェックしかない、と言われても、どうセルフチェックすればいいのかわからないと戸惑いますよね。そこで今回、筆者なりに診断を作ってみました。

では早速診断をしていきましょう。次の4問が、当てはまるか当てはまらないか、考えてみてください。

Q1. その日、時間によって、男の気分だったり、女の気分だったり、どちらでもなかったり、両方であったりする。コロコロ変わる。

Q2. 周りから「女っぽい」「男っぽい」と言われるが、それに違和感を感じる。

Q3. 自分が女なのか男なのか、どちらとしてこれから生きていきたいのか、生きていけばいいのかわからない。

Q 4. 性別欄が「男・女」しかないとき、違和感を感じる。どちらに丸をつければいいのかわからない。どちらも違う気がする。

いかがでしたか?以上4問の質問にどれか一つでも当てはまったら、あなたはXジェンダーかもしれません。

診断の解説

それではここからは、やっていただいた診断について、なぜこの質問に当てはまるとXジェンダーと言えるのかを解説していきます。

ジェンダー・アイデンティティ、つまり性自認には、代表的な定義がいくつかありますが、その一つが、心理学者のジョン・マネーによる「男性あるいは女性、あるいはそのどちらとも規定されないものとしての個性の統一性、一貫性、持続性」というものです。

今回はこの定義に注目し、佐々木氏・尾崎氏による「ジェンダー・アイデンティティ尺度の作成」の方法を参考にして、4つの質問を作成しました。

一つずつ見ていきましょう。

Q1. その日、時間によって、男の気分だったり、女の気分だったり、どちらでもなかったり、両方であったりする。コロコロ変わる。

この質問は、性自認の「自己連続性」、つまり、自分が常になんらかの「性」である、という感覚があるかどうかを確かめるための質問です。

この質問に当てはまる人は、性自認に関して、自己連続性がなく、場所や時間によってコロコロと自分の性が変わっていく、Xジェンダーの「不定性」に当てはまる人が多いです。

Q2. 周りから「女っぽい」「男っぽい」と言われるが、それに違和感を感じる。

この質問は、実はQ1と少し通じるものがあります。周りの人が考えるあなたの性別と、あなた自身が考えるあなたの性別の連続性をはかる質問です。

自分の性が自分の中で一貫するためには、周りの人たちからの承認が必要であると言われています。しかし、Xジェンダーについての理解が深いとはまだまだ言えないこの社会では、多くの人が、あなたを「女」か「男」かのどちらかに当てはめようとします。Xジェンダーの人は、そのような当てはめに違和感を感じることが多いのではないでしょうか。

Q3. 自分が女なのか男なのか、どちらとしてこれから生きていきたいのか、生きていけばいいのかわからない。

この質問は、「自分が自分の性別で、これから過ごしていけるかどうか」という展望性を確かめるものです。

すでにいくらか述べましたが、Xジェンダーの人は、「女」「男」という枠にすっぽり収まりません。そのため、その2枠のみで動かされている社会で生きる上で、これからどういう風に振る舞って、どちらの性別として生きていけばいいのか戸惑う方は多くいます。

Q 4. 性別欄が「男・女」しかないとき、違和感を感じる。どちらに丸をつければいいのかわからない。どちらも違う気がする。

この質問は、「自分の性が社会の枠組みで定義されているか」を確かめるものです。何度もいうように、現在の社会は、残念ながら「女」「男」のどちらかしかないと考えている人が圧倒的多数です。Xジェンダーは、女でもあり男でもある人、どちらでもない人、中間の人、色々変化する人のことを指すため、そのような社会の枠にははまりません。

診断に当てはまらない

全く診断に当てはまらなかった、という方もいらっしゃるでしょう。もしかしたらさらに不安になってしまったかもしれません。

でも大丈夫です。実は「自分の性がわからない」「まだ決まってないのかも」「ほかの性自認はどれも違和感があるけどXジェンダーとも違う気がする」というような人は、「クエスチョニング」と呼ばれる性のあり方に該当すると言われています。

それだけでなく、「性自認を無理やり枠に収めないほうが生きやすい」という人や、「とりあえず今は保留」というような人もクエスチョニングを自認しています。

「Xジェンダー」「クエスチョニング」という枠組みは、あくまでも私たちが生きやすいように名前がつけられているにすぎません。ですから、もし診断に当てはまる項目が多かったとしても、Xジェンダーではなくクエスチョニングの方が良いと感じたり、女、男の方が良いと感じたりしたらそれがあなたにとっての性自認です。性自認は他人や社会に決められるものではなく、自分自身で決定できるものです。

おわりに

Xジェンダーの人は、非常に揺らぎやすく、不安を抱えやすいです。あなたも不安ではなかったでしょうか。

それは実は、性自認のもう一つの表現である「ジェンダー・アイデンティティ」という言葉にヒントがあります。

この言葉の中にある「アイデンティティ」とは、簡単にいうと、「自分が何者なのか自分でわかっている」というような意味です。それを知るためには、自分の中の一貫した認識、周りの大切な人から認められること、社会から認められることなどが必要です。

しかし、Xジェンダーの人は、「Xジェンダー」という一貫した性自認を知らないままでいると、自分の中で自分が一貫していないように思え、周りの人からの理解も得難く、社会が用意する性別の枠からははずれやすいため、そもそも「アイデンティティ」が非常に不安定な状態にあります。

そのような状態で、不安になるのは当然だと言えます。今回の記事が、不安になっている人のなんらかの助けになれば嬉しいです。

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