LGBTに関するニュース2019まとめ

ライター: Natsuki
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近年、日本国内でもパレードが各地で開催されるなど、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとったセクシュアルマイノリティの総称)の権利獲得を目指す活動が盛んになっています。

いまだに人によってLGBTに関する理解にばらつきがあるのは否定できませんが、多くの活発な動きによって少しずつ社会が変わりつつあるのもまた事実です。

今回は2019年に起こったLGBTに関するニュースをまとめて紹介します。

1. 日本国内のニュース

1.1 政治に関係するニュース

新聞紙

2019年は政治の場において同性婚について語られることが多い年でした。議員からの差別的発言が相次いだことは残念ですが、一方で権利を認めるための動きも多く見られました。

1月3日 平沢勝栄議員「LGBTばかりになったら、国はつぶれる」と発言

山梨県韮崎市で開かれた集会にて、自民党の平沢勝栄衆院議員が「LGBTで同性婚で男と男、女と女の結婚。これは批判したら変なことになるからいいんですよ。もちろんいいんですよ。でもこの人たちばかりになったら、国は潰れちゃうんですよ。」と発言しました。

上記は少子化問題についての話題の中でされましたが、問題の論点がすり替わっており、多様な性の生き方を否定するような発言だとして物議を醸しました。

参考:平沢勝栄氏「LGBT、国はつぶれる」発言が物議。本人は「タブー視していては議論進まない」と説明

LGBTに関する問題発言をした議員・カミングアウトしている議員

5月14日 自民党「失言防止マニュアル」を配布。「タイトルに使われやすい『強めのワード』 パターン2 ジェンダー、LGBT についての個人的見解」

自民党が所属議員や候補者による演説中の失言を防ぐための注意事項をまとめた、いわば「失言防止マニュアル」を党内に配布しました。

この「失言防止マニュアル」は弱者やマイノリティに対する差別意識を問題視するのではなく、発言に気をつけるというその場しのぎの対応に言及するものであることから議論の的になりました。

参考:ミタパンも批判…自民党の「失言防止マニュアル」が酷い! LGBT差別への反省なく「強めのワードに注意」

5月29日 パワハラ防止を企業に義務付ける法案が成立。「SOGIハラ」「アウティング」に対しても企業に対策が義務付けられる方針に

職場でのパワーハラスメント防止を義務づける関連法案の改正が参議院本会議で可決・成立しました。

あわせて策定予定の「パワハラ対策指針」にSOGIハラアウティングの防止も盛り込まれることになりました。

参考:パワハラ防止を義務付ける関連法が可決、SOGIハラとアウティングの防止も盛り込まれることに

6月3日 野党が同性婚を認める民法の一部を改正する「婚姻平等法案」を衆議院に共同提出

立憲民主、共産、社民の野党3党が「婚姻平等法案」を衆院に提出しました。

法案は同性婚の法制化、同性カップルが養子縁組をできるようにすること、結婚や家族に関わる文言の性中立化を求めるものになっており、同性婚を求める法案は日本初となります。

日本政府のLGBT差別に関する認識とは【差別解消法 v.s. 理解増進法!?】 

参考:同性婚を認める法案を、立憲民主党ら野党3党が提出

9月10日 長崎県長崎市議会の浅田五郎議員がパートナーシップ制度に対して「憂慮せざるを得ない」と発言

浅田氏は長崎市の「パートナーシップ宣誓制度」に関し、定例会一般質問にて「長崎市のためになるのか憂慮せざるを得ない」と発言しました。

同氏はその理由として、
・子供たちの健全教育などを脅かす可能性がある
・子供たちが男女の区別がつかなくなる
・婚姻制度が根底からくつがえる
などとした文献を引用しています 。

これに対し、田上富久市長は「(制度は)性の多様性が認められる社会を構築するうえで大きなステップ」であると理解を求めました。

【なぜ必要】日本で同性婚の実現は可能?パートナーシップ制度との違いや社会への影響も解説!

参考:長崎市議会議員 パートナー制度に「憂慮」 傍聴者「がっかり」

9月11日 鹿児島市議会上田勇作市議がパートナーシップ制度導入に関して「ニーズがほとんどない」「自然の摂理にあった男女の性の考えを強調する教育をすべきだ」と発言

自民みらい会派の上田勇作市議が鹿児島市議会の代表質問で「(同性パートナーシップ証明制度の)ニーズはほとんどない」「地方都市がLGBT施策を推進すべきでない」などと発言をしました。

同氏は、LGBT施策への慎重な対応を市に求める趣旨で質問に立っており、この質問は地元のLGBT団体から事前に取り下げを求められていましたが、聞き入れられずに敢行されたものです。

参考:鹿児島市議が「(同性パートナーシップ証明制度の)ニーズはほとんどない」「地方都市がLGBT施策を推進すべきでない」「自然の摂理に合った男女の性の考えを強調すべき」などと発言

9月21日 自民党の下村博文選挙対策委員長が改憲項目に「同性婚」を提示

自民党の下村博文選挙対策委員長が憲法改正の対象になりうる議論のテーマとして同性婚を提示しました 。

同性婚に否定的な議員も多い党内からは批判の声もあがりました。

参考:自民・下村氏、改憲項目に「同性婚」提示 党内から反発

1.2 メディアに関係するニュース

テレビを見る子ども

LGBTを題材とした多数の連続ドラマが開始され話題を呼んだ一方、情報番組の企画などから、テレビ局内の人権意識の低さが露呈することもありました。

4月6日 テレビ東京ドラマ「きのう何食べた?」が放送スタート

よしながふみさんの人気漫画「きのう何食べた?」を原作に、西島秀俊さんと内野聖陽さんのダブル主演で連続ドラマがスタートしました。

放送されるとTwitterの世界トレンド1位になり、また最終回放送終了後には“何食べロス”になる人々が続出するなど反響を呼びました。

2021年には全国東宝系にて映画化も決定しています。

ゲイが登場する作品まとめ!【映画・ドラマ・漫画】

参考:ドラマ24 きのう何食べた? 主演:西島秀俊・内野聖陽 テレビ東京

5月10日 読売テレビのニュース番組「かんさい情報ネット.ten」が一般の人への「性別質問」で炎上

読売テレビ系の関西ローカル情報番組「かんさい情報ネット.ten」は、見た目で性別が分かりづらい一般の人に対し、リポーター役の芸人が保険証を提示させたり、胸を触ったりするなどして男性と確認する企画を放送しました。

VTRが終わってからのスタジオでは、コメンテーターの若一光司氏が「個人のセクシュアリティーにそういう形で踏み込むべきではないです。どういう感覚ですか、これは報道番組として。」とコメントしています。

参考:読売テレビの「性別質問炎上」に何を学ぶべきか

11月2日 テレビ朝日土曜ドラマ「おっさんずラブ in the sky」が放送スタート

2018年に同シリーズのシーズン1が放送され、社会現象となったドラマ「おっさんずラブ」のシーズン2が放送を開始しました。

2019年8月には映画「劇場版おっさんずラブ〜LOVE or DEAD〜」も公開されています。

LGBTたちが大活躍する映画10選【まとめ】

参考:
土曜ナイトドラマ『おっさんずラブ-in the sky-』テレビ朝日
映画『劇場版おっさんずラブ〜LOVE or DEAD〜』公式サイト

11月14日 テレビ山口の情報番組「週末ちぐまや家族」がトランスジェンダーの人を「珍 女性のような男性」と紹介し炎上

TBS系列、テレビ山口で放送中の情報番組「週末ちぐまや家族」の企画中に、トランスジェンダー女性を「珍 女性のような男性」とのテロップにて紹介しました。

また番組に出演したトランスジェンダー女性は、本人への確認もなしに男性だと晒された、とコメントしています。

参考:テレビ山口がトランス女性への差別的な扱いとアウティングを伴う番組を放送、謝罪へ

3月7日 「LGBT報道ガイドライン」が策定

LGBT当事者団体の連合組織である「LGBT法連合会」が「LGBT報道ガイドライン」を策定しました。

近年LGBTに関する報道が飛躍的に増えた一方、取材を受ける側の当事者とメディアの認識のズレによるトラブルも頻発するようになったという問題認識から、策定が目指されました。

報道8社の有志の記者らによって報道する側、される側に向けたチェックリストなどが設けられています。

参考:「LGBT報道ガイドライン」ができました。取材をする側、される側両方に向けたチェックリストが特徴

1.3 その他のニュース

新聞記事を読む人

教育現場で性の多様性について学べるようになったり、LGBTの権利保護のための働きかけが多数行われたりするなど、活発な動きが見られました。

1月24日 最高裁が性同一性障害特例法の「手術要件」に合憲との初判断

性同一性障害の人の戸籍上の性別変更について、2004年に施行された性同一性障害特例法では「生殖腺や生殖機能がないこと」などを要件としており、その規定について争われた裁判が行われました。

最高裁は「現時点では合憲」とする初判断をし、一方で「合憲性については不断の検討を要する」と指摘しました。

参考:性同一性障害者の性別変更、手術要件は「合憲」

2月14日 「結婚の自由をすべての人に訴訟」複数の同性カップルが国に対し一斉提訴

同性婚が認められないのは、婚姻の自由の保障と法の下の平等を定める憲法に違反するとして、札幌、東京、名古屋、大阪の4都市で13組の同性カップルが国を相手に一斉提訴をしました。

同年9月5日には、福岡で1組のカップルが提訴しており、現在は全国5カ所で訴訟中です 。

参考:
同性婚めぐり初の集団訴訟、4都市で13組が国を一斉提訴
一般財団法人 MarriageForAllJapan

何が違う?LGBTの結婚事情~日本と海外の比較~

2月27日 一橋アウティング事件 原告の請求を棄却

一橋アウティング事件とは2015年にゲイであることを同級生に暴露され一橋大学のキャンパス内の校舎から転落死した事件のことです。

遺族が事件を防げなかった責任を追及して大学側を訴えた裁判で、東京地裁は遺族側の訴えを棄却しました。同年3月7日に遺族側は控訴しています 。

一橋大学は、引き続き、学内におけるマイノリティーの権利についての啓発と保護に努めていくとコメントしています。

参考:
一橋大アウティング事件、遺族の訴え棄却 大学側は「マイノリティーの権利保護に努める」
一橋大アウティング訴訟、遺族が控訴 大学の相談対応めぐり

アウティングとは【カミングアウトされたら、あなたはどうしますか?】

3月26日 2020年4月からの小学校教科書に初めて性の多様性に関する記載がされることに

2020年4月から小学校で使用される保健体育の教科書にLGBTに関する記載がされることが明らかになりました。

光文書院の3・4年の教科書では「『性』についてのなやみ」という見出し、また文教社の5・6年の教科書では「寄り添うことの大切さ」という見出しで性の多様性に関する話題に触れています。

LGBTの問題に詳しい早稲田大学の棚村政行教授は「日本にとっては画期的なことだが、既に取り組んでいる欧米の国々を見るとあくまで第一歩だと思う。LGBTについて教育現場で深く学んでいくためには、もっともっと伝え方を工夫する必要がある。」とコメントしています。

参考:来春からの小学校教科書に初めて性の多様性のことが記載されることになりました

7月24日 日本弁護士連合会が政府や国会に対し「同性の当事者による婚姻に関する意見書」を提出

日弁連は法務大臣、内閣総理大臣、衆議院議長および参議院議長宛に、法制上同性間の婚姻が認められていないことに関して、性的指向が同性に向く人々の婚姻の自由を侵害し、法の下の平等に反する人権侵害だとする意見書を提出しました。

意見書は2015年に455名の当事者たちから人権救済の申立てがなされ、日弁連の調査を経て発表されました。

参考:「同性婚を認めないのは、重大な人権侵害だ」 日弁連が意見書を国に提出

8月30日 国際研究チームが性的指向と遺伝子の関わりについて調査。同性との性的行為に強く関わる単一の遺伝子が存在しないことを確認

国際研究チームが人間の性的指向と遺伝子の関わりについて約47万人の遺伝情報を調べた結果、同性との性的行為に強くかかわる単一の遺伝子は存在しないことが確認されました。

論文は29日、米科学誌「サイエンス」に掲載されています。

研究に関わった米ブロード研究所のベンジャミン・ニール氏は「今回の結果は一人ひとりの性的行為を推測するものではない」としています。

参考:同性への性的指向、特定の遺伝子なし 国際研究チーム

【用語解説】同性愛とは?案外複雑?「同性愛」のこれまでのこれから

8月31日 日本航空 「ピンクドット沖縄」開催に合わせ「LGBT ALLYチャーター便」を運航

LGBT理解促進の取り組みを目的にJALが9月1日に開催される「ピンクドット沖縄」に合わせ「LGBT ALLY チャーター便」を運行しました。

同ツアーでは、チャーター機内での特別サービスを受けることができるなど、参加者のために数々のおもてなしが用意されました。

参考:JALが日本初のLGBTチャーター便を運航しました

JAL LGBT ALLYチャーターって本当におトク?【沖縄に行きたいライターが必死に比較してみた】

10月11日 「work with Pride 2019」開催。企業のLGBT施策を評価する「PRIDE指標2019」発表

任意団体「work with Pride」が2016年に策定した職場における LGBTへの取り組みの評価指標である「PRIDE指標」。応募総数が前年を上回り194社にのぼりました。また過去最高の152社がゴールドを受賞しました。

参考:「work with Pride 2019」が開催され、過去最高の152社がゴールドを受賞しました

LGBT研修とは?【企業・団体の取り組みまとめ】

2. 海外のニュース

海外の風景

5月24日 WHO 性同一性障害を「精神障害」の分類から除外

世界保健機関(WHO)の総会で、「国際疾病分類」改訂版が了承され、性同一性障害を「精神障害」の分類から除外することで合意しました。

またWHOは性同一性障害を「性別不合」へと変更することにしており、「障害と分類されなくても、当事者が望めば性別適合手術などの医療行為を受ける権利は保証されるべきだ」としています。

参考:WHOが性同一性障害を「精神障害」の分類から除外しました

5月30日 ロンドン 深夜バスで同性カップルが激しい暴行を受ける

英ロンドンの深夜バスで、同性愛の女性カップルが10代の少年たちに襲われ、顔面から出血するケガを負う事件が起きました。

バスに乗車していた2人は少年たちから互いにキスをして見せるよう要求され、断ったところ暴行を受けたそうです。

地元警察は7日、10代の男性4人を逮捕したと発表しました。

参考:同性愛カップル、ロンドン深夜バスで襲撃されるも「行動は変えない」

11月13日 同性婚が認められているデンマークとスウェーデンで、同性愛者の自殺率が減少したという調査結果が発表

学術誌「Epidemiology and Community Health(疫学と地域保健)」に掲載された論文によると、LGBTの権利保護に早くから取り組んできたデンマークとスウェーデンで、同性婚が認められたあとに同性愛者の自殺率が大幅に減少していることがわかりました。

研究はデンマーク自死予防研究所とストックホルム大学が共同で行っています。

同性カップルと異性カップルの自殺率を1989〜2002年と、2003〜2016年で比較しています。

参考:同性婚が認められたデンマークとスウェーデン、同性愛者の自死率が大幅に減少(研究結果)

12月19日 J・K・ローリング氏 トランスジェンダー差別により解雇された研究者を擁護し、物議

「ハリー・ポッター」シリーズの作者、J・K・ローリング氏のTwitterでの発言が大きな物議を醸しました。

「人は性別を変えられない」といった差別発言をしたことにより解雇されたマヤ・フォーステーター氏がそれを不服として裁判を行っていました。元勤務先のシンクタンクの決断を支持する内容の判決に対し、ローリング氏は#IStandWithMaya(私はマヤを支える)というハッシュタグをつけて擁護するツイートをしました。

参考:J・K ・ローリング トランスジェンダーへの発言に批判集まる

12月20日 『スター・ウォーズ』最新作で初めて同性同士のキスシーンが描かれる

20日に公開された映画『スター・ウォーズ』シリーズ最新作の『スカイウォーカーの夜明け』では、初めて同性同士のキスシーンが描かれました。

同性愛が法的に認められていない国では当該シーンが削除されるなど、各国で対応が分かれました。

参考:『スター・ウォーズ』、同性同士のキスシーンを最新作で初めて描写。中国でそのまま公開も、シンガポールや中東では削除

おわりに

今回は紹介しませんでしたが、世界各地でレインボーパレードが行われるなど、活発な動きが年々増え、今まで以上にLGBTの存在感が強まっています。

国内外でいまだに差別が存在しているのは悲しい事実ではありますが、少しずつ進歩している側面があることも忘れないようにしたいものです。

2020年も、さらに性の多様性に寛容な社会へ、一歩ずつ歩みを進められる年になるよう、期待を込めて活動していきましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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