日本で同性婚はいつ実現する? 最高裁大法廷の審理と高裁判決の現状、パートナーシップ制度との違いを解説

ライター: JobRainbow編集部
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日本では今も、同性同士のカップルが法律上の結婚をすることはできません。けれども、この数年で状況は大きく動いてきました。2019年に全国で始まった「結婚の自由をすべての人に」訴訟は、高等裁判所の判断が出そろい、2026年3月には最高裁判所の大法廷で審理されることが決まりました。最高裁が同性婚について憲法判断を示すのは初めてのことで、早ければ2026年度中にも統一判断が出る見通しです(引用:日本経済新聞「同性婚認めない規定、最高裁大法廷が憲法判断へ」)。

この記事では、裁判がこれまでどう進んできたのか、最高裁の判断がなぜ大きな意味を持つのかを整理したうえで、そもそもなぜ同性婚が必要なのか、パートナーシップ制度や養子縁組ではなぜ足りないのかをあらためて考えます。判決を待つ間に今できる備えについてもまとめました。パートナーとの将来に不安を感じている方にも、身近な人のことを知りたいと思っている方にも、読んでいただけたらうれしいです。


同性婚を求める裁判はどう進んできたのか

始まりは2019年2月14日のバレンタインデーでした。13組の同性カップルが、札幌、東京、名古屋、大阪の各地方裁判所で一斉に国を訴えました。同じ年の9月には福岡でも提訴され、2021年3月には東京で二次訴訟も起こされています。原告たちは、結婚できないことによって税制上の扶養や社会保険、相続、病院での面会や手術の同意といった、数多くの法的な利益を受けられずにいることを訴えてきました(引用:東京弁護士会「結婚の自由を全ての人に訴訟の進捗状況と世界の同性婚について」)。

最初の判決は2021年3月17日、札幌地方裁判所で出されました。同性カップルが結婚による法的な効果を一切受けられない現状は、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するという判断で、同性婚をめぐって裁判所が初めて「違憲」と述べた瞬間でした。その後、各地の地裁判決では「違憲」「違憲状態」と「合憲」が分かれましたが、合憲と判断したのは大阪地裁のみでした(引用:ヒューライツ大阪「結婚の自由をすべての人に訴訟(同性婚訴訟)の現状と今後」)。

高等裁判所の段階に入ると、違憲の流れはよりはっきりしました。2024年3月には札幌高裁が、同性婚を認めない現行法は憲法24条と14条に違反すると判断しました(引用:北海道合同法律事務所「高裁でも違憲」)。同年10月30日には東京高裁も、同性に性的指向が向く人が結婚に伴う法的利益を得られないことに合理的な根拠はないとして、違憲の判断を示しています(引用:Marriage For All Japan「東京高裁の違憲判決と上告のご報告」)。

一方で、2025年11月28日の東京高裁(東京二次訴訟)は、高裁として初めて「合憲」と判断しました。ただしこの判決も、同性カップルが結婚できない状況が今後も続けば、将来的に憲法24条に違反する可能性があると言及しています(引用:時事ドットコム「同性婚訴訟、二審初の『合憲』 5件は『違憲』、判決出そろう」)。こうして6件の高裁判決は、違憲5件、合憲1件という形で出そろいました。


最高裁の大法廷に回付されたことの意味

2026年3月25日、最高裁判所第三小法廷は、6件すべての訴訟について審理を大法廷に回付することを決めました(引用:時事ドットコム「同性婚6訴訟、大法廷に回付 高裁判決割れる、統一判断へ」)。

最高裁には、通常の審理を行う三つの小法廷のほかに、裁判官15人全員がそろう大法廷があります。大法廷が開かれるのは、法律の規定が憲法に違反するかどうかを判断する場合や、これまでの最高裁の判例を変更する場合など、社会的に重みのある事件に限られます。高裁の判断が分かれたからこそ、最高裁として統一した答えを出す必要があると判断されたといえます。

大法廷では、原告側と国側の双方から意見を聞く口頭弁論が開かれる見通しです。報道や支援団体の見立てでは、判決は早ければ2026年度中、遅くとも2027年に入ってからになるとみられています(引用:PRIDE JAPAN「『結婚の自由をすべての人に』訴訟は最高裁大法廷へ、判決は早ければ2026年度中」)。

もし最高裁が違憲と判断すれば、国会には民法や戸籍法の改正など、立法による対応が強く求められることになります。合憲と判断された場合でも、国会で議論を進めること自体が妨げられるわけではありません。どちらの結果になるにせよ、この判決が日本の家族のあり方を左右する大きな分岐点になることは間違いありません。


国と原告はそれぞれ何を主張してきたのか

裁判の意味をつかむために、双方の主張を簡単に見ておきましょう。

国側は、結婚という制度は男女の夫婦とその間に生まれる子どもを保護するためのものであり、法律上の結婚を男女に限ることには合理性があると主張してきました。また、同性カップルについてどのような制度を設けるかは国会が決めるべき問題だという立場もとっています。

これに対して原告側は、結婚できないことで多くの法的な利益から外されている現状そのものが、法の下の平等に反すると訴えてきました。憲法24条1項の「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」という文言についても、もともとは家どうしの都合や親の意向によらず、本人どうしの意思で結婚できることを保障するために書かれたものであり、同性同士の結婚を禁じる趣旨ではないという解釈が示されてきました。札幌高裁の判決は、この24条1項も同性間の結婚を保障していると踏み込んだ判断として注目されました。

2025年11月の合憲判決に対しては、原告や支援団体、国際人権団体から、平等の実現に逆行するものだという批判の声も上がっています(引用:アムネスティ日本「日本、同性婚訴訟 東京高裁判決は平等への道を逆行」)。


そもそもなぜ同性婚が必要なのか

「好きな人と一緒に暮らせているなら、結婚という形にこだわらなくてもいいのでは」と感じる方もいるかもしれません。けれども、法律上の結婚には、ふたりの生活と人生の終わりを支えるさまざまな権利が結びついています。たとえば次のようなものです。

  • 相続人になれること、配偶者として税制上の優遇を受けられること
  • 健康保険の被扶養者や遺族年金の対象になれること
  • 病院で家族として面会し、病状の説明を受け、治療方針に関わること
  • 葬儀や火葬で家族として扱われること
  • 会社の家族手当や慶弔休暇、社宅など、配偶者向けの福利厚生を受けられること
  • 外国籍のパートナーが配偶者として在留資格を得られること

同性カップルは、どれだけ長く一緒に暮らしていても、こうした権利を当たり前に受け取ることができません。パートナーが入院したときに「家族ではないから」と病状を教えてもらえなかった、葬儀に呼ばれなかったといった経験は、実際に当事者から語られてきたものです。

制度がないことは、心の負担にもつながっています。日本で初めて行われた性的マイノリティに関する全国無作為抽出調査では、深刻な心理的苦痛を抱えている人の割合が全体では7.6%だったのに対し、同性愛者・両性愛者では21.1%にのぼりました(引用:法政大学「日本初の性的マイノリティの生活実態に関する全国無作為抽出調査の結果を公表」)。将来を思い描くときに「自分は結婚できない」という前提があることが、どれほど人を孤立させるかは、想像に難くありません。


パートナーシップ制度や養子縁組では足りない理由

同性婚がない中で、同性カップルはさまざまな方法で関係を守ろうとしてきました。代表的なものと、それぞれの限界を見ていきます。


パートナーシップ制度

2015年に東京都の渋谷区と世田谷区で始まったパートナーシップ制度は、10年で全国に広がりました。2025年5月末時点で導入自治体は530、人口カバー率は92.5%に達し、累計で9,836組が登録しています(引用:nippon.com「パートナーシップ制度:25年5月時点で人口カバー率9割超す」)。公営住宅への入居や、一部の病院での面会など、利用できる場面は確実に増えています。

ただし、パートナーシップ制度は自治体が関係を証明するもので、法律上の効力はありません。相続人になることも、税制上の配偶者控除を受けることもできません。引っ越しで自治体が変わると手続きのやり直しが必要になる場合もあります。制度の詳しい内容はパートナーシップ制度の解説記事にまとめています。


養子縁組

年上の人が親、もう一方が子どもとなる養子縁組を使えば、法律上の家族として相続などの権利を得ることができます。そのため、これまで多くの同性カップルが「ほかに方法がないから」とこの道を選んできました。

けれども、対等なパートナーであるはずのふたりが親子になることに、抵抗を感じる人は少なくありません。さらに民法736条は、養親と養子の間では、離縁して親族関係が終わった後も結婚できないと定めています(引用:e-Gov法令検索「民法」)。将来同性婚が実現したとき、すでに養子縁組をしたカップルがどう扱われるのかは、制度設計のうえで残された課題です。


海外での結婚

同性婚が認められている国で結婚するという方法もあります。ただ、海外で結婚しても、日本ではその関係は婚姻として扱われません。日本人と外国籍の人のカップルの場合、外国籍のパートナーは配偶者としての在留資格を得られないという問題も残っています。

どの方法も、異性の夫婦が当たり前に受け取っている権利のごく一部しか補えません。そして、どこに住むか、どんな形で家族になるかという選択肢そのものが、同性カップルにだけ狭められているのが現状です。


世界では39の国と地域で同性婚ができる

世界に目を向けると、2001年にオランダが初めて同性婚を認めて以来、同性婚は着実に広がってきました。2025年1月時点で、同性婚ができる国と地域は39にのぼります。アジアでは2019年の台湾に続き、ネパール、そして2025年1月にはタイでも同性婚ができるようになりました(引用:Marriage For All Japan「世界の状況」)。

主要7か国(G7)の中で、同性カップルに法律上の結婚も、国レベルのパートナーシップ制度も認めていないのは日本だけです。海外の状況については同性婚が認められている国の解説記事でも詳しく紹介しています。


同性婚が実現したら、何が変わるのか

同性婚が法律で認められれば、まず同性カップルが、異性の夫婦と同じ権利を同じ手続きで受け取れるようになります。病院で家族として扱われるかどうか、相続で遺言書が必要かどうかといった不安を、カップルごとに個別に解決しなくてもよくなります。

働く場面も変わります。現在は、同性パートナーにも家族手当や慶弔休暇を適用する企業が増えてきていますが、あくまで各企業の自主的な取り組みです。転職や異動で制度の有無が変わってしまう不安定さがあり、同性パートナーのいる人にとっては「パートナーを家族として扱ってくれる会社かどうか」が職場選びの大きな条件になっています。法律で結婚が認められれば、どの会社で働いても配偶者として扱われるのが当たり前になり、キャリアの選択肢が広がります。転勤のときにパートナーと一緒に移り住むことも、ずっと考えやすくなるでしょう。

そして何より、「同性を好きになっても、自分は誰かと家族になれる」と思えることは、これから自分のセクシュアリティに気づいていく若い世代にとって、大きな支えになるはずです。


判決を待つ間に、今できること

最高裁の判決までにはまだ時間がかかります。答えの出ない状況を待ち続けるのはつらいことですが、結婚という制度がなくても、パートナーとの関係を守るためにできることはあります。

ひとつひとつは手間がかかりますが、組み合わせることで、パートナーとの関係を法的に補強していくことができます。


おわりに

同性婚をめぐる議論は、いま最高裁という最終的な判断の場にたどりつきました。結婚は、誰と人生をともにするかを自分で選び、その選択を社会に認めてもらうための制度です。そこに性別による線引きがあることの意味が、いま問われています。

裁判の進み具合や判決の内容は、この記事でも続報が出しだい更新していきます。JobRainbowでは、同性パートナーを家族として扱う福利厚生を整えた企業など、LGBTQ+フレンドリーな職場の情報を紹介しています。制度が追いつくまでの間、自分らしい働き方と暮らし方を選ぶための手がかりにしていただけたらうれしいです。


参考

  1. 日本経済新聞「同性婚認めない規定、最高裁大法廷が憲法判断へ」
  2. 東京弁護士会「結婚の自由を全ての人に訴訟の進捗状況と世界の同性婚について」
  3. ヒューライツ大阪「結婚の自由をすべての人に訴訟(同性婚訴訟)の現状と今後」
  4. 北海道合同法律事務所「高裁でも違憲」
  5. Marriage For All Japan「東京高裁の違憲判決と上告のご報告」
  6. 時事ドットコム「同性婚訴訟、二審初の『合憲』 5件は『違憲』、判決出そろう」
  7. 時事ドットコム「同性婚6訴訟、大法廷に回付 高裁判決割れる、統一判断へ」
  8. PRIDE JAPAN「『結婚の自由をすべての人に』訴訟は最高裁大法廷へ、判決は早ければ2026年度中」
  9. アムネスティ日本「日本、同性婚訴訟 東京高裁判決は平等への道を逆行」
  10. 法政大学「日本初の性的マイノリティの生活実態に関する全国無作為抽出調査の結果を公表」
  11. nippon.com「パートナーシップ制度:25年5月時点で人口カバー率9割超す」
  12. e-Gov法令検索「民法」
  13. Marriage For All Japan「世界の状況」

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