クワ(クォイ)セクシュアルとは?【恋愛と友情の違いがわからない!】

ライター: Mio
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クワセクシュアル(クォイセクシュアル)とは、自分が他者にいだく好意が恋愛感情か否か、また自分が他者に感じる魅力が性的魅力か否か判断できない/しないセクシュアリティを指します。

近年、LGBTという言葉が頻繁にメディアで取り上げられるようになり、「同性に恋愛感情をいだく人もいるんだな」「心と体の性が一致しない人もいるのね」と認知している人は多いでしょう。

しかし、実は性のあり方は無限大。レズビアンゲイバイセクシュアルトランスジェンダー以外にもさまざまな性自認や性的指向が存在します。本記事では、クワ(クォイ)セクシュアルに焦点をあてて紹介していきます。

1. クワ(クォイ)セクシュアルって何?

寄り添いあう鳩

まだまだ知名度が低いクワ(クォイ)セクシュアルですが、なんとなく耳慣れない響きに感じられるのは、「クワ」が英語由来の言葉ではないからかもしれません。「クワ(Quoi)」には、フランス語で「」という意味があるのです。そして、「〜セクシュアル(~sexual)」は、「恋愛・性愛の対象がどのような人に向くのか」を表す言葉にくっつく接尾語*です。

ここから、クワ(クォイ)セクシュアルは、自分が他者にいだく好意が恋愛感情か否か、また自分が他者に感じる魅力が性的魅力か否か判断できない/しないセクシュアリティといった意味になります。つまり、恋愛や性愛と他の気持ちの違いはあいまいだと考えているということです。

しかし、一つ気をつけていただきたいのは、クワ(クォイ)セクシュアルに対して「まだ分かっていないだけじゃない?」と決めつけないこと。というのも、恋愛感情や性愛とそれ以外をはっきり区別できる状態は、実は当たり前ではないのです。

実際に辞書で引いてみると、恋愛感情とその他の好意、たとえば友情には厳密な区別がありません。大辞泉によると、友情は「友達の間の情愛」ですが、さらに友達を引くと「互いに心を許し合って、対等に交わっている人」と記述されています。しかし、これは恋人同士のあいだにも成り立つ関係でしょう。

また、は「特定の人に強くひかれること、また、切ないまでに深く思いを寄せること」を指すようですが、これもまた完全な定義とは言えません。たとえば誰かと親しくなる際に、それが恋愛関係でなかったら、相手は不特定、つまり誰でも良いのでしょうか。

友達や仕事仲間のような間柄でも、「趣味が合う」「人に対する態度が尊敬できる」というように、互いの個性に惹かれて仲良くなった経験のある方も多いでしょう。また、遠い外国に引っ越してしまい、久しく会っていない友人を切ないほどに恋しく思う、といったケースも想像にかたくありません。

性的魅力とその他の魅力の境も同じようにあいまいです。したがって、クワ(クォイ)セクシュアルは知識や経験などの不足ゆえに恋愛感情や性愛とそれ以外の線引きが分からないのではありません。もともと、それらの線引きは自然に存在しているものではないため、明確に区別することもしないことも個性として尊重されるべきなのです。

*「〜セクシュアル(~sexual)」は性愛の対象を示す言葉、「〜ロマンティック(~romantic)」は恋愛の対象を示す言葉として使い分ける場合もあります。その際、クワ(クォイ)セクシュアル=「自分が他者に感じる魅力が性的魅力か否か判断できない/しない」、クワ(クォイ)ロマンティック=「自分が他者にいだく好意が恋愛感情か否か判断できない/しない」といった意味になります。(参考:クォイセクシュアル、クォイロマンティックとは?聞いたことないこんなカテゴリー

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2. クワ(クォイ)セクシュアルの具体的な特徴

花を差し出して微笑む二人

ここまでクワ(クォイ)セクシュアルの意味をご紹介してきましたが、「恋愛感情や性愛とそれ以外の区別があいまいって……どんな感じ??」と思われた方もいるでしょう。以下では、クワ(クォイ)セクシュアルの特徴**を具体例とともに解説します。

2.1 自分が感じる好意が恋愛感情なのかどうか分からない

「最近、仲の良い人に告白されて『つきあおう』って言われたけど自分の気持ちがよく分かんない!かなり好きな相手だけど私は恋人になりたいのかな?このまま友達でいたいのかな?そもそも友達と恋人のちがいって何だっけ」

「自分は恋人と一緒にいてときめいたりすることがないんだよね。恋人をかけがえのない存在だと思う気持ちと、友達や家族を大切に思う気持ちがまったく別物とも思えない。これって恋愛なの?そうじゃないの?」

こんなふうに思ったことのある方は、クワ(クォイ)セクシュアルの可能性があります。また、これらの例にまったく共感できず、自分の恋愛感情をはっきり認識している方でも、初恋の前後を思い浮かべてみると分かりやすいかもしれません。

小さいころ、友達が他の友達と仲良くしているのを見て、嫉妬心を感じたことはありませんか?もしくは初めて誰かとお付き合いした時、相手を恋愛として好きだと思っていたのに、スキンシップになんとなく違和感があったなんて経験はありませんか?

もちろん、恋人が誰と仲良くしていようと嫉妬心をいだかない人もいますし、恋愛するものの性的欲求はなく、肌の触れあいを苦手に思う人もいます。ただ、今では恋愛対象にのみ感じる気持ちを、他の人に対してもいだいていた時期があったならば、クワ(クォイ)セクシュアルの心理を理解する助けになるでしょう。

2.2 自分が性的魅力を感じているのか分からない

あなたは、ファッション誌やアイドルのポスターを見たときにどんな感情をいだくでしょうか?あるいは、美術館に展示されている作品を見たときはどうでしょう。動物や植物などでもかまいません。自分が魅力を感じるものをいくつか思い浮かべてみてください。

では、それらに対してあなたが感じているのは性的な魅力でしょうか、それともなにか別の魅力でしょうか?明確に答えるのが難しければ、あなたはクワ(クォイ)セクシュアルかもしれません。一方で、「これはカッコいい」「これはセクシー」などとはっきり区別できた人も、グレーな領域をもっていることがあります。

たとえば筆者の場合、古代ギリシャの彫刻に対して性的欲求はわきませんが、その豊かな肢体はとても美しいと感じます。そして、その「美」はまぎれもなく肉体美、曲線美であり、性的なものと完全に切り離されているかどうかは分かりません。性的魅力とその他の魅力の見分けもまた、世間一般で考えられているより難しいものなのです。

2.3 恋愛感情や性的魅力をその他のものと区別する必要を感じない

さて、ここまで読んでいただいて「恋愛感情・性的魅力とそれ以外を切り分ける試みは思っていたほど簡単じゃない」と感じている方もいるかもしれません。ここでふと、素朴な疑問が生まれます――そもそもそれらを区別する必要はあったのか?と。

この問いに「NO」と答えることも、クワ(クォイ)セクシュアルの特徴として挙げられます。恋愛感情・性的魅力とそれ以外の区別に関心をもたないクワ(クォイ)セクシュアルもいるのです。

いくつかの例を挙げて紹介してきましたが、これらは「ぜんぶ当てはまるからクワ(クォイ)セクシュアルだ」「一つも当てはまらないからクワ(クォイ)セクシュアルじゃない」というような指標ではありません。

セクシュアリティは、他人にどう見られるかではなく、自分がどう思うか・どうありたいかで決まるので「しっくりくるかどうか」を軸に考えてみてください。

**参考:アシュリー・マーデル著『13歳から知っておきたいLGBT+

3. 似ているセクシュアリティ

湖畔にかかる虹

3.1 デミセクシュアル・デミロマンティックとのちがい

デミセクシュアル強く深い関わりをもった相手にのみ性愛を感じるセクシュアリティ、デミロマンティック強く深い関わりをもった相手にのみ恋愛感情をいだくセクシュアリティです。デミセクシュアル/デミロマンティックにとっては、信頼や友愛といった相手との固い結びつきが、性的欲求/恋愛感情をいだく必要条件となります。

つまり、性的欲求/恋愛感情は信頼や友愛の延長線上に位置づけられており、それぞれが切り離されて存在しているわけではありません。その点ではクワ(クォイ)セクシュアルと似ていると言えるでしょう。

異なるのは、デミセクシュアルとデミロマンティックが性的欲求や恋愛感情を認識しているのに対して、クワ(クォイ)セクシュアルはそれらと他の感情のちがいが分からない、分かる必要がないと考えている点です。

3.2 クエスチョニングとのちがい

クエスチョニングは、自身の性自認(自分の性を何と考えるか)や性的指向(どんな性を好きになるか/ならないか)が定まっていない、もしくは意図的に定めていないセクシュアリティを指します。これは「性のあり方について考え中」というニュアンスを含んでおり、クワ(クォイ)セクシュアルより包括的な言葉です。

クワ(クォイ)セクシュアルとクエスチョニングは重なりあう部分も多く、まったく別の意味をもっているわけではありません。それでは、実際にどのような使い分けがされているのでしょうか。

もしあなたの感じ方・考え方の核心が「恋愛や性愛とそれ以外の区別があいまい」ということである場合、クワ(クォイ)セクシュアルを自認するのがしっくりくるかもしれません。

一方で、「恋愛についてだけでなく性のあり方全般を言葉で表せない」「クワ(クォイ)セクシュアルの考え方に共感はするものの、自分をそう呼ぶのは違和感がある」と思う場合には、クエスチョニングの方がフィットしていそうです。

3.3 アセクシュアルとのちがい

アセクシュアル(エイセクシュアル)とは、他者に対して性的欲求も恋愛感情もいだかないセクシュアリティのことです***。他者に対して魅力を感じたり、好意をいだいたりはしますが、それが性的魅力や恋愛感情ではないと断定しています。

対してクワ(クォイ)セクシュアルの場合は、他者に対して魅力や好意を感じますが、それが性的魅力や恋愛感情なのかは分からない、あるいは分かる必要もないと考えています。

***アセクシュアルは他者に対して性的欲求をいだかないセクシュアリティ、アロマンティックは他者に対して恋愛感情をいだかないセクシュアリティと使い分けることもあります。ノンセクシュアルは、他者に対して恋愛感情はいだくものの性的欲求はいだかないセクシュアリティです。

おわりに

いかがだったでしょうか。「結局自分はクワ(クォイ)セクシュアルなんだろうか、ちがうんだろうか……?よく分からないな」と煮え切らないような感じがあったかもしれません。

実際に、性のあり方は、その他の性格や価値観と同じように、必ずしもずっと変わらないものではなく、言葉で説明しつくせるほど単純なものでもないのです。心や体の性、性的指向などを完全にカテゴライズするのは、ほとんど不可能に近いと言えるでしょう。

それでは、“言葉”という便利な道具が使えないとき、自分や他者のアイデンティティとどのように向き合えばよいのでしょうか。答えはたくさんありますが、筆者は「当たり前は存在しない」ことを念頭に置くと良いと考えています。

「体の性が心の性と一致しているのが“当たり前”」「一人の異性に恋愛感情や性的欲求をいだくのが“正しい”」といった思いこみがなければ、「自分はおかしいのかな?」と悩んだり、「あいつは間違っている」と無意味な否定を突きつけたりする必要もないでしょう。

この記事が「なんとなく常識だと思っていたけれど実はちがうことってあるんだな」という気づきの一助となれば幸いです。

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